第28回全国消防ポンプ操法大会の開催決定 操法選手へのインタビュー ~操法大会の廃止へ~

防災
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消防ポンプ操法大会の主催者は、操法大会の選手の本心を聴いたことはありますか??

インターネットで「消防団」「インタビュー」と検索すると、ポジティブな内容の記事ばかり見かけます。また、消防団員募集のリーフレットにおいても、タレントの稲村亜美さんと消防団員が対談しており、「先輩方の熱い気持ちに魅了されて」「仲間との絆」等の意見や消防ポンプ操法大会をポジティブに捉えたメッセージが書かれており、すごく違和感を覚えました。その消防団員の思いを否定するつもりはありませんし、操法大会をポジティブに捉えている方もいらっしゃると思いますが、消防団員の総意ではなく、寧ろネガティブに捉えている方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、実際に消防ポンプ操法大会の訓練を経験した(経験している)消防団員3名の思いを記事にしましたので、ご一読いただければ幸いです。

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令和3年消防ポンプ操法大会選手の声

・年齢 37歳
・家族構成 4人世帯 妻、子2人(12歳、7歳)
・職業 会社員
・消防団歴 15年
問1 なぜ操法大会の選手になられたのですか?

私が所属する分団は、分団員数が20名と少数であり、分団内から1名の選手を出すよう指示がありました。立候補する消防団員はおらず、私も一度は断りました。しかし、本部員や分団長より説得されて選手候補になりました。「分団から選手を出さなければ恥だ!」等と何度も言われましたし、自宅にも説得に来られましたね…。

問2 職場の理解は得られたのですか?

私は土木・建設会社に勤務しており、社長は元消防団員でもあるため、操法大会には前向きな気持ちを持っています。本部員や分団長が社長に根回ししており、断りにくい環境を作られました。会社での役職は部長職であり、年齢的にも仕事に力を注ぎたい気持ちでしたが、社長からの指示であれば断れないですね…。外堀を埋められたら逃げ道がなくなって…正直に言うと、やり方が汚いなと感じましたね。

問3 家族への理解は得られたのですか?

妻の正直な気持ちは分かりません。普段の消防団活動(夜警・訓練等)により家を留守にする際も、あまり良い顔はしてもらえませんので、操法大会の選手になったことについても納得はしていないでしょうね。

問4 訓練内容や大会までの日程は把握していますか?

はい。大会まで合計で80回程度の訓練を計画しているみたいですね。訓練計画は私たち選手が考えるのではなく、本部員が計画しているみたいです。80回の訓練なんて異常なので、時々は休もうと思っていました…。しかし、「37,5度以上ない者は強制参加!」と言われ、軍隊に入隊した気分ですよ…。「日本は徴兵制ってありましたっけ?」と笑えてきましたね…。

問5 操法大会に疑問はありますか?

疑問だらけですよ。なぜ操法大会に参加する必要があるのか理解できません。私が住んでいる地域は、梅雨の時期には浸水被害にあうため、消防団組織は必要だと思います。私も地域貢献のため消防団へ入団し、15年が経過します。しかし、これまでの消防団活動において、操法が必要だと思ったことは1度もありませんし、役に立ったこともありません。災害現場で指揮系統を確立するため、ある程度の規律訓練は必要だと思いますが、規律や礼式を重んじすぎています。世の中は日々変わっているのに、消防団は古い体制・考え方のままです。年功序列の組織ですから、新しい風は入ってこないですよ。消防団組織を内部から変えることは難しいので、社会全体が消防団組織や操法大会に疑問を持って欲しいと思います。

問6 ポンプ車操法で出場となりますが、意気込みは?

申し訳ないですが、意気込みなんてありませんよ。早く終わって欲しい…ただそれだけです。そもそもですが、私たちの支団にはポンプ車は配備されていないんですよ。可搬ポンプ(B‐3)が各分団に配備されているため、可搬ポンプしか取り扱ったことないんです。1万歩譲って、出場するなら小型ポンプ操法ですよね?普段の消防活動で使用することもないポンプ車で訓練する必要って何なのでしょうね。

問7 ポンプ車操法の印象はいかがでしたか?

現時点では礼式訓練しか行っていませんので、何とも言えないですね。しかし、訓練初日にポンプ車操法のDVDを視聴しましたが、違和感しかありませんでした。車両への乗車など、機械的な動きに合理性も利便性も感じませんでした。シンクロ?本当に意味不明です。

問8 他に言いたいこと、伝えたいことはありますか?

さきほども言いましたが、消防団員の立場では消防団組織や操法大会を変えることはできません。消防団以外の方に、消防団の悪い面を知ってもらうことが重要になり、今後もblogやTwitterで発信してくれる方が増え、世論を動かしてくれることを願います。

令和2年消防ポンプ操法大会選手の声

・年齢 33歳
・家族構成 3人世帯  妻、子1人(2歳)、5月に第2子出産予定
・職業 医療機関ソーシャルワーカー
・消防団歴 3年
問1 なぜ操法大会の選手になられたのですか?

立候補する人がいなかったことと、選手になれば慰労金が30万円貰えると聞いたので推薦を受けました。消防団歴が短いので、そこまで深く考えておらず、聞こえは悪いですが「お金目当て」ですね。

問2 令和2年の操法大会は途中で中止となりましたが、感想は?

正直に言うと、中止になってくれて安心しましたよ。3月から訓練が開始になったのですが、教官である消防署員の方や、他の操法選手との温度差が大きくて、訓練に行くのが嫌でしたもんね。新型コロナウイルス感染症が流行り始めて、4月に入る前に訓練が中止になりました。もちろんコロナの蔓延は嫌でしたよ。しかし、操法大会が中止になったことで精神衛生上は非常に落ち着きましたね。慰労金30万円に釣られて選手になったことを後悔していましたし、割に合わないなって思ってましたから。

問3 他のメンバーとの関係性はどうでしたか?

関係性は良好だったと思いますよ。しかし、操法出場に前向きな方が多くて居心地は悪かったですね。個人的には適当で良いと思っていましたが、ガチ勢の方の発言や主張が強くなってしまいますので、訓練回数を増やすなど、私たちの都合などは考慮されませんでしたね。

問4 操法大会は存在意義とは何でしょうか?

知りませんよ。私自身はお金目当てで選手になったのでやる気はありませんでしたし、この操法大会が必要とは思いませんね。教官である消防署の方の熱量は凄くて、「操法大会の訓練教官となり、チームが好成績を上げると出世できるの?」とか考えちゃいましたね。消防団歴が短い私が言うのもおこがましいですが、この操法大会は意味がないと思いますよ。

問5 令和3年も操法大会が開催されますが、どうお考えですか?

私は医療機関で働いていること、5月に第2子が誕生することを理由に選手にはなりませんでした。分団長より令和3年の操法大会開催の連絡を受けたときは驚きましたよ。コロナ禍でもありますし、変異株が増えているじゃないですか。開催する側も異常だし、参加する側も異常だと思いますね。不平不満を言い過ぎたら良くないのですが、ちょっと可笑しいと思いませんか?オリンピックは、それこそトップアスリートが人生をかけて鍛えてきた成果を競い合う訳じゃないですか。個人的にはオリンピックの開催をぎりぎりまで悩むのは分かるんですよ。しかし、操法大会は、「これから」訓練を始める訳ですよね?別にこれまで鍛えていた訳でもない消防団員が、大会のためにわざわざ訓練を始める訳です、コロナ禍に。消防団は参加することを見直した方が良いと思いますね。消防団歴3年の私が、消防団歴30年以上の消防団本部の幹部に意見できる訳ないんですけどね…。

平成26年消防ポンプ操法大会選手の声

・年齢 40歳
・家族構成 単身世帯  婚歴あり 子1人(9歳)は前妻が養育
・職業 会社員
・消防団歴 既に退団済み(大会時は消防団歴5年目)
問1 なぜ操法大会の選手になられたのですか?

分団長から指名され、勤め先が時間的に融通の利いたため、仕方なく選手になることを容認しました。市の大会には出場経験があり、その際は1週間程度の訓練であったのですが、県大会は8か月以上の訓練があり、選手になったことを後悔していますよ。

問2 どのような点で後悔されていますか?

前妻に何も相談することなく選手になることを容認した点が一番後悔している点ですね。恥ずかしい話ですが、私はバツイチなんですよ。それも、前妻には操法大会を理由に別居・離婚を切り出されました。操法大会の訓練期間の生活は、それまでの生活とは一変しました。仕事が終わり、家に着く時間が19時頃で、20時から訓練が開始となるので、19時40分には訓練会場に行かなければなりません。訓練が終わる時間が22時で自宅に帰るのは22時30分を過ぎていました。最初のうちは「頑張って」など声をかけてくれていましたが、5月のゴールデンウィークも操法訓練があり、旅行も遠出も出来なかったんですよ。そこから夫婦間の会話やコミュニケーションはなくなりました。育児も家事もすべて前妻に任せっきりで、家族サービスも何もできなかったですしね…。私自身も好きで操法大会の選手になった訳ではないので、お互いに不満が溜まっていった感じですね。大げさな言い方かもしれませんが、操法大会や消防団活動で人生が変えられる方は私以外にも沢山いると思いますよ。

問3 これからも操法大会は開催されますが、選手候補に何か一言ありますか?

操法大会は廃止すべきものだと思っておりますが、簡単に廃止できるものではないと思います。私は操法大会をきっかけに人生が変わりました。操法大会の選手に推薦されたとしても、妻子がいる方や結婚・出産を予定している方は必ず断ってください。当初の訓練日程とは別に突発的な訓練や土日の訓練も平気で行われます。離婚については私自身にも至らない点があったのかもしれませんが、消防団には恨みしかありませんよ。

まとめ・感想

今回は3名の方にインタビューをさせていただき、消防ポンプ操法大会・訓練に参加した方の生の声を聴くことができました。もちろん、消防ポンプ操法大会に前向きな消防団員もいれば、後援会も存在すると思います。しかし、このように苦悩し、人生が変わってしまった方もいることは理解すべきだと思います。この3名の方は「消防ポンプ操法大会は廃止すべき」と主張し、インタビューを受けてくださいました。この記事を読んでいただき、「こんな大会は廃止すべきだ。」と思ってくださる方が増えることを祈ります。

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